ROOT-EXTLUSION矯正的挺出・
歯冠長延長術
矯正的挺出・
歯冠長延長術について
虫歯により歯が保存できないと言われたことはあるでしょうか。
勿論抜歯を選択せざるを得ないこともありますが、しかし残っている歯の条件が良ければ歯を残すことに繋がることがあります。
その一つは歯の挺出(Root Extlusion)です。矯正的な力を用いて、歯茎内に埋まっている歯を引っ張り出すという方法です。
なぜ歯を
引っ張りだすのか?
こちらの図は歯茎の上に歯がどれだけ残っているかで差し歯や被せ物といったものが長期的に残せるかを示した図です。
(Libman WJ,Nicholls JI:Load fatigue of teeth restored with casy posts and cores and complete crowns.Int J Prosthodont,Mar-Apr;8(2):155-161,1995)医歯薬出版 コンベンショナルレストレーション3から引用
簡単にご説明すると、歯は歯茎の上に全周1.5mmほどの高さが残っていると条件が良くなるということです。
虫歯が大きく歯がほとんど残っていない歯に無理に差し歯を装着しても、すぐまた虫歯になったり、外れてしまうことに要因しています。
歯茎や骨の形を整える?
もう一つの処置を歯冠長延長術といいます。歯の周囲の歯茎や骨の位置を下げる処置です。
矯正で歯を引っ張り出す処置と違い、歯茎を切除するなどして外科的に歯を露出させる方法になります。
治療前
骨整形前
骨整形後
治療後
治療前には歯茎の上に歯がほとんど見えていませんでしたが、骨の形を整えて長さを獲得することにより、術後には歯茎の上に露出する歯の量が増えていることがわかります。
矯正的挺出・
歯冠長延長術を行う理由
歯茎の下にまで及ぶ虫歯が進行した場合や、歯が割れたり欠けたりして残った歯の境目が歯茎下になってしまった場合に適応します。全てのケースに対応できるわけではなく、またそれぞれを単独で行う場合や、周囲の状態から両方法を併用する場合があります。
これらを適用することにより、精度が良く長持ちする詰め物や被せ物を製作できるようになります。虫歯や歯茎の炎症をなくし、より長く自分の歯を残せることにつながります。
症例
50代女性 前歯の差し歯が取れた
差し歯を支える歯が歯茎の中に埋まっている状態でした。根管治療後、歯を引っ張り出し差し歯を新しく作り直しました。
治療前
装置装着
挺出終了時
治療後
治療内容 | 矯正的挺出 +セラミック修復5本 +局所麻酔 |
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目的 | 歯の保存および不良補綴物の改善 |
治療期間 | 3ヶ月 |
費用(税込) | ¥770,000 (矯正¥82,500 セラミック(仮歯含)¥137,500×5本) |
副作用・リスク | 矯正期間の仮歯の脱離、 麻酔による一時的感覚の喪失 |